LaTeX をステップごとに学ぶ
まず文書の構造を学び、次にテキストとリスト、続いて数式と別行立ての数式、そして表と図へと進みます。このセクションの各ページには、エディタで開いて書き換えられる短い例があります。
このセクションの使い方
各ページは 1 つのトピックを扱い、それまでのページの内容を土台にしています。LaTeX が初めてなら順番に読み、必要なトピックがあればそこへ直接進んでください。これらのページの例はすべてエディタ自身が組版しています。プロジェクトにコピーして試し、書き換えて、結果をすぐに確かめられます。
Scissor LaTeX の動作が TeX のインストール環境と異なる箇所では、Scissor LaTeX の制限という見出しのボックスでその旨と、代わりに書くべき内容を説明しています。
おすすめの順序
- 枠組み。 文書の構造では、文書クラス、プリアンブル、本文を説明します。
- テキスト。 テキストのスタイル、段落とスペース、リスト、セクションと目次。
- 数式。 数式の基本、続いて別行立ての数式と整列、行列、定理と証明。
- 表と画像。 表、図と画像、フロート。
- 各部分をつなぐ。 相互参照、脚注、参考文献。
- 自分好みに仕上げる。 自作のコマンド、文書クラス、ページレイアウト、複数ファイルのプロジェクト。
すべてを組み合わせる
この短い文書は、このセクションのほとんどのページの内容を少しずつ使っています。タイトル、概要、セクション、リスト、参照付きの番号付き数式、証明付きの定理、そして表です。
基本を使った短い論文
\documentclass{article}
\usepackage{amsmath,amsthm,booktabs}
\newtheorem{theorem}{Theorem}
\title{Sums of Odd Numbers}
\author{Erika Mustermann}
\date{November 2026}
\begin{document}
\maketitle
\begin{abstract}
We show that the first $n$ odd numbers add up to $n^2$.
\end{abstract}
\section{The claim}
Adding odd numbers one by one gives:
\begin{itemize}
\item $1 = 1$,
\item $1 + 3 = 4$,
\item $1 + 3 + 5 = 9$.
\end{itemize}
The pattern suggests
\begin{equation}
\sum_{k=1}^{n} (2k - 1) = n^2 . \label{eq:odd}
\end{equation}
\begin{theorem}
Equation~\eqref{eq:odd} holds for every $n \geq 1$.
\end{theorem}
\begin{proof}
For $n = 1$ both sides are 1. Adding the next odd
number $2n + 1$ to $n^2$ gives $(n+1)^2$.
\end{proof}
\section{A check}
\begin{tabular}{rr}
\toprule
$n$ & Sum \\
\midrule
4 & 16 \\
44 & 1936 \\
\bottomrule
\end{tabular}
\end{document}
このセクションのページ
- 文書の構造LaTeX 文書は 2 つの部分から成ります。
\documentclassから\begin{document}までのプリアンブルで文書を設定し、\begin{document}と\end{document}の間の本文に、出力される内容を書きます。 - 太字、イタリック、そのほかの文字スタイル太字は
\textbf{...}、イタリックは\emph{...}か\textit{...}、タイプライター体は\texttt{...}でテキストを囲みます。下線は\underline{...}、取り消し線はulemパッケージの\sout{...}で付けます。 - 段落、改行、スペースソースに空行を入れると新しい段落になり、行末に
\\を書くと段落の中で改行します。単語間のスペースは組版エンジンが決めます。~は 2 つの単語を離さず、\,は細いスペースを入れます。 - リスト:itemize、enumerate、description箇条書きには
itemize、番号付きリストにはenumerateを使い、各項目の前に\itemを書きます。用語とその説明を並べるにはdescriptionを使い、用語を角かっこに入れます:\item[Term]。 - 節と目次各部分の始まりに
\section{Title}、\subsection{Title}、\subsubsection{Title}と書くと、自動で番号が付きます。\tableofcontentsは、これらの見出しからページ番号付きの目次を作ります。 - LaTeX の数式の基本短い数式は本文中の
$ ... $の間に書き、大きな数式は\[ ... \]で独立した行にします。数式の中では^で上付き、_で下付きになり、\frac{a}{b}で分数、\sqrt{x}で平方根になります。 - LaTeX で数式をそろえる:align、gather、cases番号付きの数式を 1 つ書くには
equation環境を、複数の行を&の位置でそろえるにはalignを使います。中に\label{eq:name}を書くと、本文中の\eqref{eq:name}が番号をかっこ付きで出力します。 - Word、Google Docs、PowerPoint で使う LaTeX 数式数式を LaTeX で書き、アプリが受け付ける形式で持ち込みます。Scissor LaTeX の無料の LaTeX 数式エディタは数式を MathML としてコピーし、LaTeX to PNG と LaTeX to SVG は画像を作ります。どれもブラウザ内で動き、アカウントは不要です。PNG 画像は Word、Google Docs、Google Slides、PowerPoint に挿入できます。Microsoft のヘルプによると、現在の Office は SVG ファイルも挿入でき、Word for Microsoft 365 では LaTeX で直接数式を入力できます。すべてのアプリとバージョンを試したわけではないので、お使いの環境で結果を確認してください。
- LaTeX の行列:pmatrix、bmatrix、vmatrix数式の中で
\begin{pmatrix} ... \end{pmatrix}を使うと、丸括弧で囲んだ行列になります。行の要素の間には&、行と行の間には\\を書きます。bmatrixは角括弧、vmatrixは行列式用の縦線になります。 - LaTeX の定理と証明(amsthm)プリアンブルで種類ごとに
\newtheorem{theorem}{Theorem}と宣言し、本文で\begin{theorem} ... \end{theorem}と書きます。amsthmのproof環境は「Proof.」と表示し、最後に小さな四角を付けます。 - LaTeX の表
tabular環境の中に行を書き、セルの間に&、各行の終わりに\\を置きます。キャプションと番号が必要なら、tableフロートに入れます。 - LaTeX で画像と図を挿入する
graphicxを読み込み、画像ファイルをプロジェクトに追加して、\includegraphics[width=0.8\linewidth]{photo.png}と書きます。\caption{...}と\label{...}を付けてfigure環境に入れると、参照できる番号が付きます。 - LaTeX の図の配置:[h]、[t]、[H] とフロート通常の文書では、Scissor LaTeX はどの配置指定の文字を書いても、すべての図と表をソースに書いた場所にとどめます。フロートをページの上や下に移動するのは、学会風のレイアウトだけです。
- LaTeX の相互参照:\label と \ref参照したいものの直後(
\section{...}の後、\caption{...}の後、数式の中)に\label{key}を書き、番号を表示したい場所に\ref{key}と書きます。組版するときに Scissor LaTeX が番号を埋めます。 - LaTeX の脚注注を付けたい単語や句読点の直後に
\footnote{Your note.}と書きます。LaTeX がそこに上付きの番号を、ページの下に注を置きます。 - BibTeX、natbib、biblatex による LaTeX の参考文献文献をプロジェクト内の
.bibファイルにまとめ、\cite{key}(または\citep、\citet、\parencite、\textcite)で引用し、参考文献の一覧を置きたい場所に\bibliography{...}か\printbibliographyと書きます。 - LaTeX の色
xcolorを読み込み、\textcolor{red}{...}や\color{blue}を使います。Scissor LaTeX では、色は数式、TikZ の図、pgfplots のグラフに表示されますが、通常の本文のテキストは常に黒のままです。 - LaTeX のリンクと URL
hyperrefを読み込み、アドレスを表示するなら\url{https://...}、語句にリンクを付けるなら\href{https://...}{link text}と書きます。どちらも PDF でクリックできるリンクになります。 - ページレイアウト、余白、用紙サイズ用紙サイズ、フォントサイズ、段組は
\documentclass[a4paper,11pt,twocolumn]{article}のような\documentclassのオプションで決まります。余白、向き、そのほかのページサイズは\usepackage[a5paper,landscape,margin=1.5cm]{geometry}のようにgeometryパッケージで決まります。Scissor LaTeX はどちらも適用します。 - LaTeX の文書クラス:article、report、bookどのクラス名も受け付けられます。
article、report、bookは標準クラスと同じようにレイアウトされ、KOMA-Script と memoir はそのうちいちばん近いものに対応し、IEEEtran、revtex4-2、elsarticleなどの学会や論文誌のクラスには似せたレイアウトが使われ、そのほかのクラスはすべてarticleとして組まれます。 - 複数のファイルからなるプロジェクトプリアンブルと
\begin{document}はmain.texに置き、ほかのファイルは\input{chapters/intro}か\include{chapters/intro}で取り込みます。Scissor LaTeX は組版の前にそれらを 1 つの文書につなげます。 - \newcommand で自分のコマンドを作るプリアンブルに
\newcommand{\name}{replacement}と書き、引数#1から#nを使うなら[n]を付けます。それ以降、\nameは本文でも数式でもその定義に置き換えられます。 - ほかの言語とフォントScissor LaTeX はどの言語のテキストも組版します。UTF-8 でテキストを入力すれば、Scissor LaTeX がその文字体系を持つフォントを選びます。フォントはセリフ体とサンセリフ体の切り替えだけができ、babel、polyglossia、fontspec の設定は無視され、ハイフネーションや「Figure」などの名前は英語のままです。
- LaTeX のコードリストコードを
verbatim、lstlisting、minted環境に入れるか、行内なら\verb|...|を使います。Scissor LaTeX はコードを入力したとおりに等幅フォントで組み、言語を指定すれば構文を色分けします。 - アルゴリズムと疑似コード疑似コードを
\caption付きのalgorithm環境で囲むと「Algorithm 1」となります。その中で Scissor LaTeX が algorithmic の大文字のコマンド(\STATE、\FOR)を読み取るのは学会風のレイアウトだけなので、ほかの文書では手順をverbatimブロックに入れてください。 - よくあるエラーと直し方ほとんどの問題は文書を止めません。不明なコマンドは飛ばされて問題タブに一覧表示され、読み取れない数式は赤で表示されてそこに名前が挙がり、見つからない画像や引用はその場所に印が付きます。文書全体を止めるのは EPS 画像だけです。
よくある質問
LaTeX を身につけるにはどのくらいかかりますか?
最初の数ページの基本だけで、簡単なレポートなら半日で書けるようになります。数式、表、参照はもう少し時間がかかりますが、初めて必要になったときに学べば十分です。
これらのページを読み進めるのに LaTeX をインストールする必要はありますか?
いいえ。すべての例はブラウザのエディタで開けます。文書は標準的な LaTeX のままなので、あとで TeX のインストール環境でもコンパイルできます。
このページの例はすべて、サイトのビルド時に Scissor LaTeX で組版されています。 最終更新:2026-11-07